RB80の設計の特長

 安全性、ガスの使用効率、操作性、使用可能な混合ガスの多様性などすべての性能面で、ハルシオンRB80リブリーザーは従来のリブリーザーのスタンダードを凌駕しました。ハルシオンRB80は、現在のリブリーザーシステムのリスク要因のほとんどを解決しただけでなく、オープンサーキット・ダイビングの利点を応用できるようにしました。ガスの使用効率は約8倍まで拡大され、80キュービックフィート(約12Lサイズ)タンクのガスは、RB80ではその8倍の、640キュービックフィート相当の呼吸ガスとして使用できます。

 ハルシオンの作動システムでは一発アウト的エラーはありません。ガス切れが起きかけると、“体感アラーム”が警告します。タンクを開け忘れた、あるいはガス補給機能にトラブルが起きたときには、ただちにはっきりと体感できる警告を出します。この警告機能は、受動式(パッシブ)ガス補給システムの採用で実現しました。ガスの補給機能にトラブルが起きたときの、カウンターラング中のガスは、前回の呼気で、さらにその一部は水中に排気されるので、ダイバーが呼吸を続ければいずれは使い切ります。ハルシオン・リブリーザーは、オープンサーキット・スクーバのエア切れのように、しだいに吸気がしにくくなり、ガス切れが近いことを警告します。この体感アラーム機構が、アトランティスなどの定流量ガス補給リブリーザーに比べ、ハルシオン・リブリーザーをより安全にしました。 アクティブ(能動式=定流量)ガス補給システムのリブリーザーでは、補給ガスの供給機能にトラブルが起きても、設計上ダイバーはトラブルを感知できず、酸素を減らし続けながら回路内を循環するガスを、危険レベルになるまで呼吸し続けることになります。


ハルシオンのリブリーザーデザイン

吸気時のガス循環
 マウスピースから息を吸うと、呼気用ノンリターンバルブが閉じ、同時に吸気による陰圧で吸気用一方弁が開きます。外側ベローズの中のガスは、スクラバーに取り付けられた吸気ホースを通って、マウスピースを通じてダイバーの肺に入っていきます。吸気によって生じた回路内の陰圧によって、外側ベローズが収縮すると、内側のベローズの一方弁が閉じます。さらにベローズが縮むと、内側ベローズ内のガスは、排気バルブから排気されます。この排気ガス分は、ガス補給レギュレーターによって補充されます。

 この補給量はダイバーの吸気が調整します。吸気をしている間、外側ベローズは底まで縮み続け、ガス補給レギュレーターを作動させます。ハルシオンのリブリーザーは排気された分のガスをただちに補給するので、呼吸回路内の酸素レベルは一定に保たれます。確実に必要量、ガス補給ができるように、もう1つのレギュレーターが自動的に補助します。通常両方のレギュレーターがともにガス補給を担当します。潜降時には2つのレギュレーターが回路内の圧力をバランスさせ、浮上時の回路内の圧力上昇は、過圧防止弁からガス放出されることで調整されます。

呼気時のガス循環
 ダイバーがマウスピースに息を吐くと、吸気用の一方弁が閉じ、呼気用一方弁が開き、回路内のガスが動き始めます。ガスはフレキシブルホースの中を動いていきます。息を吐いている間 に、ガスは排気ベローズに入っていき、次の吸気が始まったときに排気されます。

水分の除去
 リブリーザーでは、マウスピースの操作ミス、CO2スクラバーの化学反応によって、温度が上昇し水分がたまります。ハルシオンRB80は、漏斗が水分を集めて、自動的に外部に排出します。RB80リブリーザーでは、装置内の水分の除去に気を使う必要がありません。

ハルシオン・リブリーザーのアラーム機構

警告機能の重要性

 ダイバーがリブリーザーの警告を見逃したために、対応が遅れたケースが、これまで少なくありません。ダイバーの注意を引くにはなにが必要か、どのように、どれだけの対応情報を与えるのか、リブリーザーにとって、警告機能はとくに重要な課題です。

エラー感知率
 このエラー感知率とは、アラーム自身ではなく、その他の不具合、例えば電池切れ、ワイヤー切れ、圧力不足などによって引き起こされた故障がアラーム機能をどう左右するか否かの確率です。

警告情報の内容
 情報の内容率は、警告機能が働いたときに、どれだけの情報内容がダイバー本人や他のダイバーに伝えられるかの機能です。例えば、この警告が特定のトラブルを知らせるのか、あるいは、単にトラブルのタイプを確認するだけなのか、その情報の違いです。とくにコンピューターを使用するリブリーザーの場合は、どのような対策を指示できるのかがポイントになります。

確認率
 確認率とは、圧力計、予備ディスプレー、呼吸パターン、作動音、気泡の排出音などの補完情報を、どれだけ集められるかに関する機能です。この確認率が高いほど、警告の信頼レベルが高まります。

 アラームシステムと呼吸システムの両方を同時にモニターできれば、警告効果は最大になるのですが、設計上、すべてを組み込むのは難しく、妥協がつきものです。リブリーザーの使用意図、個々のダイビング目的、サポート態勢の有無などすべてが、警告機能の設計条件となります。

 リブリーザーには、ある程度潜在的なアラーム機能が備わっています、例えば、呼吸回路内でゴボゴボと音がすれば、あってはならない水が回路内にあることが、はっきりと感知できます。この回路内の水が、ダイバーのマウスピースの操作ミスよるものか、循環ホースの水漏れかは、回路に圧をかけて気泡の漏れをチェックすれば確認できます。またスクラバーの能力低下は、高炭酸血症の兆候で確認できます。さらに水泳姿勢や作業姿勢を変えることで、“ソーダカクテル“の吸引の可能性を減らすことができます。

 リブリーザーの警告機能を複雑にするほど、その警告にダイバーが注意を向けない可能性も高まります。エレクトロニクスのヘッドアップディスプレーでさえ見過ごされることがあります。これが複雑すぎない機能のリブリーザーを選ぶべき理由です。例えば、純酸素の供給源を別系統にしなければ、低酸素症の可能性は減ります。とくに長時間の潜水でない限り、クローズドサーキット・リブリーザーは選択すべきではないのです。

 無視できないほどアラーム機能を強力にすることはできます。例えば、回路を閉じてダイバーに呼吸をさせない、あるいはエレクトロニクス技術で、マスクのレンズを曇らせるといった警告機能も考えられます。バッテリー故障の可能性を考えれば使用効果に疑わしい面もありますが、電気的なアラームにすれば、アラームに注意していない状況では、ダイバーの注意喚起率は高くなります。しかし、ただアラーム機能を強力にするだけでは、メカニズム上の安全の全責任を負わせることになり、これも問題があります。
 
 ベローズ式カウンターラングを使う受動式(パッシブ)補給のセミクローズドリブリーザーでは、体感タイプのアラームの設計が可能です。受動式補給システムでは、呼吸に応じてガスが補給されるので、能動式(アクティブ)補給のセミクローズドシステムにつきもの酸素分圧の変化幅の設定を小さくでき、低酸素症を起こす可能性が小さくなります。ハルシオン・リブリーザーでは、ガス補給過剰、ガス補給不足のいずれもが起きにくく、起きたときには明確な警告がダイバーに送られます。

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