リブリーザー設計の歴史

 最初のリブリーザーが開発されて約130年、その間、基本的に4つの構造グループのリブリーザーが使われてきました。

酸素リブリーザー

 酸素リブリーザーでは、ダイバーが代謝した酸素を、純酸素タンクが補給します。回路の中は純酸素ガスだけなので、酸素中毒を防ぐために、潜水深度は厳しく制限され、潜水前の酸素呼吸による窒素の洗いだし手順が不可欠です。このタイプのリブリーザーは軍隊などで現在でも広く使われていますが、使用上のリスクが高く、厳しいトレーニングが要求されます。

セミクローズド能動式(アクティブ)補給

 能動式補給リブリーザーは定流量リブリーザーとしても知られています。このタイプのリブリーザーは、補給ガスを使い尽くすか、ダイバーがガス補給をストップするまでは、一定量のガスを補給し続けます。能動式補給には潜在的なリスクがあります。補給機構が故障する、あるいはゴミなどが詰まったといった理由で、ガス供給が途絶えると、警告なしにダイバーは低酸素症を起こす可能性があります。このトラブルは、混合呼吸ガスの大半を占める不活性ガスは代謝されないために、ダイバーが呼吸を続けても、回路の中のガスの総量はほとんど変化しないので、ガス補給がなくても回路内のガスは循環し続けます。その間もスクラバーはCO2を除去し続けるために炭酸ガス過剰の兆候が起きず、ダイバーは補給ガスの途絶に気づかぬままに、代謝によって酸素が減り続ける自分の呼気を、低酸素症が起きるまで再呼吸し続けることから起きます。また リブリーザーは、あらかじめ運動レベルを見積もって、流量を決めておく必要があります。 予想より激しい運動をしたときには、呼吸ガスの酸素の実質的レベルは相対的に低下し、ときには危険なレベルにまで下がる可能性があります。例えばEAN50は普通で40%以下に低下し、ときには10%以下になる可能性があります。

セミクローズド受動式(パッシブ)補給

 このリブリーザーを受動式(パッシブ)と言う理由は、ダイバーの呼吸量と深度によってガス補給がコントロールされるためです。言い換えれば、受動式補給リブリーザーは、呼吸によって陰圧が生じたときだけ、ガスを補給するということを意味します。このタイプのリブリーザーは、能動式補給リブリーザーよりも低酸素症を起こしにくいといえます。なにかの理由で補給機構が故障したときに、しだいに呼吸をしにくくさせることで、ダイバーに警告を与えます。ガス補給にトラブルが起きれば、呼吸パターンに変化が起き、すぐにはっきりとトラブルを体感できるので、ダイバーはガス補給を常時モニターする必要がありません。

完全クローズドシステム

 クローズドサーキット・リブリーザーも、代謝に使われた分の酸素を、呼吸回路に補給するのですが、あらかじめ設定した酸素レベル(PO2)の維持をコントロールシステムが自動的に行います。クローズドサーキット・リブリーザー(CCR)では、普通2系統の補給ボトルからのガスをミックスして呼吸します。1つのボトルは純酸素、他のボトルには希釈用ガスが充填されます。浮上時を除けば回路内のガスは排出されないので、CCRではダイバーが代謝した酸素だけを補給すれば、設定したPO2(酸素分圧)を維持できます。その意味ではクローズドサーキット・リブリーザーはセミクローズドサーキット・リブリーザーよりもガスの使用効率はよいのですが、ガスミックスのコントロールをエレクトロニクスシステムや酸素ガスセンサーに全面的に頼らなくてはなりません。ダイバーは、はるかに複雑なメカニズムに精通していること、難しい操作に習熟することが要求されます。



ハルシオンRB80

 ハルシオンのセミクローズドサーキット・リブリーザーの作動システムは、高い信頼性と安全性を誇ります。とくにその体感システムの信頼性は、多くのダイビング世界記録の達成が実証しています。ハルシオンのリブリーザーほど、先端的な探検活動に、広くしかも効果的に使用されているリブリーザーは、世界でも他に類を見ません。沈船ダイビング、ケーブダイビングなど、水面から90m深度までの、6時間を越えるハードなダイビングに、ハルシオンのリブリーザーが使用されています。

ハルシオンRB80リブリーザー

 ハルシオンのリブリーザーシステムの性能は、ハイレベルなダイビングの世界で、すでに実証ずみですが、その最大の利点のシンプル設計は、ノンテクニカルダイビングで特に大きな力を発揮します。極限環境でのダイビングで培われたハルシオンのリブリーザーの信頼性と使いやすさは、広範囲なダイビング活動に応用できます。

 ハルシオンの設計担当者は、まずリブリーザー全体を小型化すると同時に、世界でも最先端なダイビング経験から得られた技術とアイデアのすべてを傾注しました。ハルシオンのもつ技術特許をベースに、ラインハルト・バカレイ博士が新たに設計し、開発チームがさまざまな機能を組み込みました。例えば、革新的な呼吸抵抗アラームや自動水分除去システムが非常に使いやすく組み込まれています。現場体験を反映した設計のハルシオン・リブリーザーは、先端的な探検ダイバーだけでなく、一般的なダイバーが使用できる安全なダイビングシステムになっています。

 ハルシオン・リブリーザーが登場する以前は、さまざまな構造の、基本的には2タイプのリブリーザー がありました。クローズドサーキット・リブリーザー(CCR)と能動的(アクティブ)補給セミクローズドサーキット・リブリーザー(SCR)です。CCRは複雑なエレクトロニクスを使用して、酸素と他のガス、例えば、酸素と空気、酸素とトライミックスをブレンドします。このタイプのリブリーザーは、歴史的に運用リスクを軽減するための支援チーム、日常的な訓練、高い整備費用などの条件をカバーできる、軍用目的などに使われてきました。SCRも、呼気からCO2を除去して、残った呼気を再利用し、プレミックス呼吸ガスの能力を延長させます。ほとんどのSCRは回路内の呼吸ガスの酸素レベルが大きく変化するので、潜在的に低酸素症のリスクをはらんでいます。多くのSCRは酸素レベルが大きく変化し、ナイトロックスのような混合ガスがもつ、減圧面での利点を生かせないものがあります。

ハルシオンRB80リブリーザー
 ハルシオンRB80はダイバーの呼吸スピードに応じて呼吸ガスを供給するので、酸素分圧の変化幅が小さくなります。他のリブリーザーよりも酸素レベルの変化が小さいので、それぞれにプレミックスされた呼吸ガスの利点を最大限に生かすことができます。この“オンデマンド=応需式ガス供給システムは、CCRの欠点を解決すると同時にSCRの利点を広げました。一般的なSCR(コンスタントフロー=定流量式)に比べて、 酸素分圧の変化の幅が小さく、はるかに広範囲なダイビング活動をカバーできることは、ハルシオンのリブリーザーが実証しています。

 ハルシオンの特許技術、“呼吸抵抗アラーム"が安全性を大きく高めました。ダイバーが息を吸うと、ただちに呼吸ガスが補給されます。息を吸うと、カウンターラングが働き、ガス補給バルブを作動させるからです。他の能動式(定流量式)SCRは、ガス補給のトラブルが起きても、ダイバーにすぐに感知できる警告を出しません。一方ハルシオン・リブーザーシステムでは、呼吸ガスがなくなると、はっきりとガス切れの兆候が起きます。呼吸ガス切れが起きかけると、ガスが完全に止まるまで、呼吸できるガスが少しずつ減っていきます。この体感警告が、バックアップシステムに切り替えるように、ダイバーを促します。バックアップシステムはリブリーザーのマウスピースに直結しており、ただちに切り替えができます。

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